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不可能と思われた企画を、地道な努力とプロデュース力で実現
〜阪急交通社テレビ通販プロジェクト〜

◆ 課題 旅行商品の販路拡大のために、テレビ通販に進出したい
◆ 施策 放送局との調整と、ノウハウを注ぎ込んだ番組づくり
◆ 効果 コロナ後から現在までで、約4万人の申し込みを獲得

商習慣や業界特有の規制により、実現は不可能とされていた旅行商品のテレビ通販。そこにメスを入れたのが、創業期よりメディア販売に特化したビジネスモデルを築いている阪急交通社です。パートナーとして選ばれたのは、電通九州。コロナ期を経て定着しつつある旅行商品のテレビ通販を、どのように実現していったのか。担当者に取材しました。

全国から参加できる画期的な商品を開発

旅行商品の企画や販売を行う旅行会社の中でも、創業75年を超える業界大手の阪急交通社。その特徴は、他の旅行会社と比較して申込みカウンターが少なく、新聞や折り込み広告などのメディア販売に特化していることです。

 

上枝さま:「私たち阪急交通社は、いわゆる通信販売の形で旅行商品を長く扱ってきました。2017年に、テレビでの通信販売に本格参入することが全社的に決まり、私がその担当者となって、実現に向けてパートナーを探していました。そこで、通販大国と言われる九州に目を向けたのです」

付き合いのある九州の代理店に相談する中で、電通九州とも話す機会がありました。

 

宇戸:「電通九州では2012年に一度、阪急交通社さんの商品で29分の長尺番組を作ったことがありました。この時も反応は良かったのですが、福岡地域のみの旅行商品だったので、販売数に対して番組製作費がどうしても割高になってしまいました。私としては『全国で売れる商品を紹介できれば、もっと結果は出せるはず』という手応えを感じていたので、上枝さんにお会いした時に、すぐその話をして、再び取り組みが始まりました」

通常の旅行商品の場合、出発地が一ヶ所に限定されているため、対象者もその地域から出発できる方に限られます。例えば羽田空港発のプランの場合、関東圏のみが対象となるため、全国で放送しても意味がありません。そこで阪急交通社では、これまでに培った各支店のネットワークを生かし、日本各地の空港から出発できる商品を開発。例えば、住んでいる地域の最寄りの空港から那覇空港まで行き、那覇からクルーズ船に乗り込むツアーなどを企画しました。これにより、同一商品を全国で販売できるのです。

上枝さま「全国どこからでも参加できるツアーのスキームを強力に推進したのは当社の強みでした。地域のカウンターを増やすのではなく、通信販売に特化して取り組んできたからこそ、このような形が実現できました」

旅行商品がテレビ通販できなかった理由

ではなぜ、2017年になるまで阪急交通社ではテレビ通販に参入しなかったのでしょうか。そこには、業界特有のルールがありました。

上枝さま:「テレビCMは15秒や30秒、長くても60秒程度です。旅行の代金や内容の詳細を、視聴者にすべてお伝えすることはできません。ではCMではなく長尺の番組なら良いかというとそうもいかず、旅行は電話で契約できない規則となっているため、ショッピングできない(=電話で申し込めない)商品をショッピング番組で放送すべきではないというテレビ局の判断がありました。そのため、旅行はテレビ通販の商品として取り扱いできないという業界の慣習があったのです」

宇戸:「ですから、阪急交通社様との取り組みにあたって、全国のテレビ局に説明することから始めました。まずは地道な説得により、業界の認識を変えていく必要があったんです」

セオリーに則り、商材に合わせてチューニング

そんな苦難を乗り越えて、ようやく番組制作がスタート。放送が始まってみると、申込数は多いながら、製作費とのバランスが取れずにしばらくは赤字が続いたと言います。

上枝さま:「何が悪いのか、どこを変えたら良いのか。旅行先の風景や食事、宿泊施設などの魅力をどのように、どんな順番で伝えていくのか。試行錯誤の連続でしたね」

そこで役に立ったのが、通販王国・九州で長年にわたり企業の通販施策をサポートしてきた電通九州のノウハウでした。

宇戸:「通販番組制作のセオリーとして、興味を喚起する構成や電話をかけてもらうための売り場づくりは熟知していたため、最大限に生かしました。その上で、上枝さまと一緒に旅行商品という特性を踏まえてブラッシュアップ。するとある時、突出した結果に繋がった回があり、そこを契機として旅行商品特有の通販手法を確立していきました」

取り組みを続けた結果、2019年からは黒字に転換。その後2年間はコロナによりストップしますが、2023年より再開。ヒットツアーとなった「石垣島・宮古島・台湾をめぐる沖縄美ら海クルーズ5日間」は2023年のテレビ放送で4,700名様以上が申し込み、それ以外も合わせるとコロナ後現在までで4万人もの申し込みが入るなど、好評を博していると言います。

小さな可能性の芽を大切に育て、いま大きく実を結びつつある今回のプロジェクト。阪急交通社側から見て、電通九州をパートナーにしたメリットは何だったのでしょうか?

上枝さま:「私たちが『こうしたい』と思うことに、丁寧に寄り添ってもらえる柔軟さには、ずいぶんと助けられましたね。私たちとしては、常に業界に先んじたチャレンジを続けていかないといけないため、いろんな障壁にぶつかります。その時、諦めるのではなく何とか実現の方法を模索していただけたことで、ここまで来れたと感じています」

宇戸:「ありがとうございます。私個人としても、この仕事はとても楽しく、思い入れも強くあります。このプロジェクトで確立できたものを、さらに育てて会社の財産にし、クライアント様にも還元していけるよう、これからも精進していきます」


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